アトピーとは

アトピーという語が意味するところ

”アトピー(atopy)”という語自体は、アナフィラキシーなどのような、命に直結するような激しいアレルギー反応(過敏症)以外の皮膚炎や鼻炎、花粉症、気管支喘息といったアレルギーによる疾患(症状)を指す言葉です。

 

近年では、アトピーといえば”アトピー性皮膚炎”のことを指す場合が多いのですが、
本稿ではあくまでも『アトピー』という語自体に注目していきたいと思います。

 

アトピーのそもそもの定義は、心と体とアレルギーの3要素が密接に関連している疾患である、というものでした。

 

つまり、症状が出るかどうか、出る場合どのくらい重い症状として現れるかは、単にアレルギーがある、というだけではなく、その時の気分や生活習慣、体質(遺伝的なものも含めて)といったものが深くかかわっている病気だ、ということです。

 

チョコレートアレルギーの人に、コーヒーの粉をチョコレートの粉末だと偽って食べさせると蕁麻疹などの反応が出る、というような事例は、その好例です。

 

ところが、いつの間にかアトピーとはアレルギー疾患である(原因はアレルギーのみである)という、心身の状態への言及が抜け落ちた概念が一般化しました。
そのため、現在のアトピーの治療の主流は、対症療法(痒みなどの軽減)とアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の除去のみで進めるというものになっています。

 

しかし、近年、うつなどの精神的な疾患が理解されるようになったこともあり、アトピー患者の精神面にアプローチする、という手法も注目されるようになってきました。

 

アトピーという言葉の歴史

近代免疫学は、1796年に種痘(しゅとう、天然痘の予防接種)という仕組みを生み出したことに始まると言われています。
そして、20世紀初頭には、免疫反応には免疫(異物から体を護る)と過敏症(アナフィラキシー)という二面性があることが判りました。

 

”アレルギー”という語は1906年に提唱されました。
当時は、免疫と過敏症はどちらも同じ仕組み(抗原抗体反応)によって起きていることを表現するための、両方を含めた言葉でした。
現在では、アレルギーという語は、体に害をなす過敏症のみを指す言葉になっています。

 

”アトピー”という言葉が提唱されたのは、1923年のことです。

 

アレルギーという語が提唱された時点では、免疫反応とは種痘や初めて蜂に刺された時のように、事前に毒素などが体内に注入される

次に同じ物質が体に取り込まれた際に、免疫ないしは過敏症が生じる
というものと理解されていました。

ところが、コカとクッケ(ArthurF.Coca&RobertA.Cooke)は、事前に何も注入されていないにも関わらず、鼻炎や喘息といったアレルギー症状が現れるという、これまでのアレルギーとはパターンが異なる未知のアレルギーがあることを報告しました。

 

そこで、”未知の、不思議な”アレルギー反応なので「見知らぬ」という意味の古代ギリシア語”アトピア(atopia)”よりアトピーと命名しました。
なお、この時点では、アトピーという語には、湿疹や皮膚炎のような、いわゆるアトピー性皮膚炎は含まれていませんでした。

 

彼らのアトピーの概念は、簡単に言うと、以下のようになります。
ここに花粉症の人がいたとして、

  • その家族や親せき(以下、一族と表現)も花粉症であることが多い(体質の遺伝)
  • 一族は、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、食物アレルギーも出やすい

    ※湿疹や皮膚炎のような、皮膚に生じる症状は、当時の定義には含まれていない

  • 一族はストレスによって、免疫や自律神経、内分泌に異常をきたしやすい

 

なお、アトピー性皮膚炎が”アトピー”という概念に含まれるようになったのは1933年のことです。
”アトピー性皮膚炎”という病名も、その際に提唱されました。

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