アトピー性皮膚炎患者はなぜ乾燥肌なのか?

 

日本人の約1割がアトピー性皮膚炎に悩まされているという統計があります。
特に近年は成人してからアトピーになるケースが増えていて、30歳を超えてから初めて発症する人も少なくありません。

 

深刻な症状の一つが皮膚の乾燥ですが、なぜアトピー性皮膚炎では乾燥肌になってしまうのでしょうか。

乾燥肌ってどんな状態でしょうか?

私たちの肌が外気にさらされていてもすぐに乾燥してしまわないのは、皮膚の表面に保湿する機能が備わっているからです。

 

皮膚の一番奥の基底膜から外側の0.2mmほどの部分を表皮と呼び、この表皮の一番外側にあたる部分が角層(角質層)です。
わずか0.02mm、食品用のラップと同じくらいの薄さの角層ですが、バリアとなって様々な刺激から体を守る大切な役割を持っています。

 

角層は死んだ細胞(角質細胞)が積み重なり、その間を脂質(細胞間脂質)が埋めてレンガのような構造になっています。
角質細胞には保湿成分が含まれていて、セラミドと呼ばれる細胞間脂質や皮脂と一緒に肌の水分量を一定に保っています。

 

健康な肌では角質細胞は周期的に表面から剥がれ落ちて垢となり、内側の細胞が死んで新たな角質細胞になります。
角層のバランスが崩れてしまうとこの肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が追いつかなくなり、肌の乾燥は加速していってしまいます。
この、角層の保湿が上手く機能しない状態が長く続くことを乾燥肌と呼ぶのです。

アトピー性皮膚炎患者はなぜ乾燥肌なのか?

乾燥肌は角層のバランスが崩れて起こりますが、アトピー性皮膚炎の場合、特に細胞間脂質が減ってしまうことが原因となります。

 

つなぎとなる細胞間脂質が減ると角質細胞がどんどん剥がれ落ちてしまい、防御力が低い内側の細胞がむき出しになります。
バリアーを失った細胞は外から侵入してくる敵と戦わなければならなくなり、免疫反応によって炎症が起こりやすい状態になるのです。

 

同時に皮膚の常在菌の黄色ブドウ球菌が増殖し、毒素を出してかゆみや赤みといった症状が出てきます。
こうしていったん角質が壊れてしまうと、皮膚の乾燥を自力で止めることができなくなり、慢性のアトピー性皮膚炎になってしまうのです。

 

アトピー性皮膚炎で細胞間脂質が減ってしまう理由ですが、活性酸素と脂質が結び付いてできる「過酸化脂質」が原因であることがわかってきました。

 

最近なにかと話題に上がる活性酸素ですが、皮膚の角層の細胞間脂質と結びつくと正常な脂質が過酸化脂質に変わり、角質のバランスを崩してしまうのです。

 

実際にアトピー性皮膚炎の患者さんの血液中には、過酸化脂質の元となる不飽和脂肪酸が通常よりも多く含まれている言われています。

 

ストレスや食生活の乱れで増え続ける活性酸素が、アトピーの大きな原因の一つにもなっているのですね。

まとめ

乾燥肌だからアトピーになるのか、アトピーだから肌が乾燥するのか。
卵と鶏に似て複雑な因果関係ですが、乾燥肌の人が必ずしもアトピーになるわけではないことを考えると、やはりアトピーだからこそ肌が乾燥してしまうのが正解でしょう。

 

アトピーを治療するには、肌の保湿はとても大事です。
自分に合った保湿剤を見つけることは、アトピー治療の大事なステップの一つです。

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